TRUCK FURNITURE BACKSTORIES by TOKUHIKO KISE

OAK SR BENCH

November 13 2017

2001年頃だったと思う。
ケンタロウが新しい部屋に引っ越すのを機にオークテーブルを注文してくれた。
それに合わせて使うベンチを作って欲しいと言われた。
今でこそ家具屋のカタログには当たり前のように、ダイニングテーブルの片側に椅子2脚、
向かい側にベンチという組み合わせを見るが、その頃はそんな組み合わせはなかった。

「ベンチが好きやねん。(僕達と話すときは大阪弁になるケンタロウ)ベンチも作って。」
よっしゃ作ろうとなり、どんなのが欲しいかと話していくと、ベンチの上に寝て、クルッと巻いたベルトに足を引っ掛け腹筋をしたいという。それならお座布も付けようとなった。
納品後、幾度となくそのベンチに座ってご飯を食べ、どうでもいい事や時には真剣な事を
夜遅くまで語り合った。そしてベンチの良さ、自由さを知った。
どこからでも、どっち向きでもひょいと座れる。またいで座るのも結構いける。
椅子とは違う楽しさがそこにはあった。

ちょうどサーフィンにはまっていた。憧れはジョエル チューダーだった。
なんとも力の抜けたライディング。やる気満々とは正反対のしなやかさ。
僕とケンタロウはジョエルのサーフボードを手に入れ、アムステルダムウェットスーツに身を包んだ。
毎日ビデオを見てイメトレもばっちり。
あとはジョエルのようにしなやかライディングをするだけ。

陸の上では、サーフボードの色がどうとか形がこうのだとか口数多く喋ってるけど、
海に入ると諸先輩達も多くいたりで無口になり、波が大き過ぎるとか小さ過ぎるとかチョッピーだのダンパーだのと一向にジョエルにはなれない日々。

だから陸の上で出来る努力はコツコツとこなした。
僕はパドリングの上達を願って毎日プールでクロール。
ケンタロウはベンチの上に腹ばいになって、テーブルの脚に括り付けたゴムチューブを引っ張った。
やるとなったらとことんやるケンタロウ。
引っ張る回数は聞く度に増えていった。初めは30回だったのが、 100回、200回、それが朝晩になり……
お陰でケンタロウの体はどんどん育って大きくなった。どう見てもジョエルの体つきとは逆方向。
「パドリングにはそんなに活かせてないんちゃう?その筋肉」ってよくからかった。

お陰でベンチの革もよく育ち、いい味が出た。

その後、まさやん(山崎まさよし)が同じテーブルとベンチを注文してくれた。
2006年に出版した”MAKING TRUCK”の中に写っているまさやんのベンチにも
腹筋用のベルトがしっかり巻かれている。

腹筋も割れてジョエルにもなれる(?)ベンチ。本当にすばらしい。

TRUCK FURNITURE_ OAK SR BENCH